【対談】家系図は、作った後も役立つし、楽しめる。家系図作成はゴールではなくスタート地点。

2019.9.2 (株)コムウェル 近藤秀樹様(40代・東京都) <全系統プランをご依頼>

───杉並区を中心として地域密着型の冠婚葬祭事業を手掛ける株式会社コムウェル様。同社の専務取締役である近藤様から全系統プランの家系図作成をご依頼いただいたことをキッカケに、行政書士の溝口との対談が実現しました。冠婚葬祭事業者目線と、近藤様個人目線から、家系図の役立て方、楽しみ方について溝口とともに掘り下げました。

近藤様
本日は宜しくお願い致します。

溝口
こちらこそ、宜しくお願い致します。この度は、FAMILY STORY®まで家系図作成のご依頼をいただきありがとうございました。

近藤様
ありがとうございます。私自身、家系図を作る目的は2つありまして、自分のルーツ探求と、家族・親族とのコミュニケーションです。どのようなものが出来上がるか、とても楽しみにしております。

溝口
ご家族・ご親族とのコミュニケーションの観点は非常に重要ですね。お客様で、親の認知症が進行してきているので、今のうちに家系図を作っておきたいという方がいらっしゃいまして。今のうちに親と話をして、色々なことを思い出してもらって、更に言えば、それをキッカケに元気になってもらいたい。できることなら故郷にも連れて行ってあげたいと。

家系図というのは、このようにご家族とのコミュニケーションの良い触媒になります。ただ、時とともにコミュニケーションが難しくなってくるケースもあるので、早め早めの家系図作成だと思っています。

近藤様
全くその通りですね。冠婚葬祭事業者の目線でも2つありまして、1つは、ご両親と住んでいない方がいまは大半で、やはり家系図のように一つの媒介になるようなツールがあるといいなと思います。家系図をきっかけに、お父様お母様と直接お話をして、思い出を聞きながら書き加えていくようなことができれば、コミュニケーションが深まるかなと。

もう1つが、親戚同士で集まる機会が減っている方も多く家系図があると、久しぶり会いにいってみようかなというきっかけになるのではないかと思います。

溝口
親族で話し合うことは非常に大事で、親族の再確認ですね。再確認する中で、名前とか住んでいるところとか、思い出すということがすごく多くて。そういえばこうだった、ああだった、とか。近藤様にお聞きしたいのは、昔と違って、お葬式は規模がすごく小さくなっている気がするのですが如何ですか。

近藤様
はい、規模は小さくなっていますね。

溝口
家系図がなかったり、ご親族がわからなかったら、ご葬儀に呼べないですよね。それはすごく寂しいことだと思います。

近藤様
特に遠縁のご親族を把握していなかったり、関係が希薄で呼ばない、ということもよく聞きます。儀式儀礼に関するビジネスに携わる者として感じるのは、本当に会葬者が少ないケースが散見されて、一般の会葬者だけではなく、ご親族ですら来ないという。これはご葬儀をされる当事者様でなくても寂しい感じがするのです。

溝口
重大な問題だと思いますね。日本人は家の教えをどうしてきたのかとか、そういう口伝みたいなものがありまして、家族という意識を持ったり、親族という意識を持ったりして、元々日本人の「家」というのはすごく強かったと思うのです。

会葬者減少に象徴されるように、家への帰属意識の衰えが、そのままこれからの日本の行く末に反映されてしまうのではないかという恐れがすごくあるのです。そういう意味でも、微力ながら家系図で何か一石を投じられないかと思っているのです。

近藤様
先ほどの話に戻ると、親戚に会いにいってみようかなとか突然思わないじゃないですか。「実はこういうもの(家系図)を作ったんだ」ということで、行こうと思うきっかけの一つになると思っています。やはり元気なうちであれば会いに行けるのです。元気なうちに会いに行っておかないと、自分の葬儀の時に親族が来ないということが起きてしまうのです。

さらに言うと、よく聞く話なのですが、80~90歳くらいのご高齢で、なんとなくまだ習い事とかで活動されていて、急にご病気等で亡くなられたようなケースの場合、ご生前のコミュニティをお子様が知らないということがあります。年賀状を見る限り、お友達も大半亡くなっているし、呼ばなくてもいいかなというそんな思い込みから、葬儀にお声がけしないことが多いのです。

実は習い事だけではなく、近所のスーパーでもお友達がいたりとか、60代とかだとSNS上のお知り合いがいたりします。そういったことがあったりするので、ご生前のうちに、エンディングノートとかで、自分がどういう生きざまだったのかを残しておくことって、自分の自己満足のためだけじゃなく、残された方のためになると思うのです。

溝口
その通りですね。振り込め詐欺があるのは、子供が親に普段から連絡をしないからだと言われています。なぜ連絡しなくなるのか。根底にあるのが、家族という意識の希薄さだと思うのです。地方で生まれた人は上京してしまう。その子供となると、もっともっと希薄になります。おじいちゃんおばあちゃんに連絡しようとか、おじいちゃんにはどのような友達がいるのか、考えなくなってしまうんですね。

この間のお客様からいただいた話では、家系図を見たら従兄弟と連絡してみようという気持ちになり、実際に一杯飲みに行かれたそうです。家系図の使い道は人それぞれだと思いますが、人と話してみたいというきっかけになるので、家系図を作るというのは本当におすすめです。

近藤様
ご親族とのつながりは本当に大切です。

7日法要というものがありますよね。最近ではご親族が7日後に集まれない等の理由で、告別式の後にまとめてやってしまうということがあります。これは宗教的な要素なのですが、それには人と人とのつながりの意味があったりします。葬儀の間のバタバタした2~3日はいいのですが、それが一段落し、ご親族が帰ったあとにポッカリ感があるんです。ご夫婦であれば、これまで用意していた2人分の食事が1人分要らなくなってしまう。葬儀のバタバタの間は、2人分どころか十数人分用意するので気が紛れるのですが、ご親族が帰ったその日の夜は1人分作ることになる。そのとき始めて、1人になってしまったことに気が付くのです。

じわじわと寂しくなってきている時に、7日目にまたご親族が集まるという大切さ。昔の人の知恵というか、7日というのはそういう意味合いが含まれているんじゃないかというのが葬儀に携わる我々の考えです。そういう意味で、ご親族との関係は、本当に大切にしたほうがいいと思います。

溝口
7日法要を告別式とまとめてやってしまうのは、効率的な反面、心の面で弊害がありますね。

近藤様
そういう意味を知った上であれば、7日後に集まるのがどうしても難しい場合でも、「どう姉さん元気?」という電話をしてあげるとか、近所に住んでいる親戚だったら顔を出してあげるとか、そういうことができるんだろうなと。家系図などをきっかけにして、事前にご親族と「一杯飲もうぜ」のような関係があれば、いざ亡くなったときに、そういう心遣いが日本人ならできる筈なんですよね。

溝口
お葬式の時に、どこかの親戚の方が来ているのはわかっている。でも、名前が思い出せないというのがありますよね。もし家系図で前もってみられるのであれば、きっと思い出せると思うんです。

近藤様
思い出せなかったら、家系図をその場で見てもいいと思うんです。私はここですよと。家族親族みんなで盛り上がるという。そういう親族全員が揃っている時に、「そういえばこの人はこうだったのよ」みたいな話ができたら、家系図によってご親族との関係値も築けるのではないでしょうか。

また、葬儀はご家族だけではなくご親族が一斉に揃う、滅多にない場だと考えております。私は、葬儀というのは故人様が引き合わせてくれた最後のご親族の場だと思うのです。私どもは、ご親族全員で記念撮影に残しておきましょうよということをよくいうのですが、祭壇の前で記念撮影って不謹慎じゃないんですか?と言われます。でも、全然不謹慎じゃなくて、故人様の前に親族全員が集まって、故人様を中心に最後の写真を撮るので故人様のためにもなるし、そこに家系図があれば、さらに家族・親族の絆を再確認する場になると思うのです。

溝口
結婚式もお葬式でも、家系図はそういう効用がありますね。それだけではなく、結局亡くなったら相続で亡くなった方の出生まで戸籍を遡るのです。お年を召した方であれば、ものすごく昔まで遡ります。前もって家系図を作成しておけば、その情報をそのまま使うことができます。

近藤様
ちなみにFAMILY STORY®の家系図にはどのような情報が載るのですか?概ね理解して注文したつもりですが、ぜひあらためて教えてください。

溝口
「家系図」には、ご先祖様のお名前、続柄、家名(名字)が載ります。最新機能として、生年月日も載せられるようになりました。

そして、家系図とセットになっている「人物単票」(一人ひとりA4にまとめられている履歴書のようなもの)には、父母(養父母)、生年月日、結婚日とお相手、お子様の出生日とお名前、没年月日というライフイベントが載ります。また、そのライフイベントがあった年に日本国内で起きた歴史的な出来事も併せて掲載いたします。そしてここがFAMILY STORY®の最大のポイントなのですが、人物単票にはお客様のほうで入力できる欄があり、そこにご家族・ご親族様しか知り得ないその人物のエピソードを自由に記載して、残すことができるのです。このご先祖様はこういう仕事をしていた、おじいちゃんには幼少期にすごく可愛がってもらった、そして面白いのは、お客様(ご依頼主様)のページに、ご自身の経歴を書かれる方も多いのです。

近藤様に関しても、我々ではなく近藤様が家系図を作っているのだ、という主体性が大事になってくると考えています。今回作る家系図は子孫に残っていきますので、将来の子孫にとってのご先祖様である近藤様がどう考えたかという主観も、物凄く大事になってくると思います。

近藤様
FAMILY STORY®はそのエピソード欄があることがすごくいいんですよね。内容を充実させるために、ご家族やご親族とコミュニケーションするきっかけも作ることができると思います。できることなら、自分のご先祖様が何の職業だったのかを知りたいのですが、それはいかがでしょうか?

溝口
残念ながら職業は戸籍ではわからないのです。ただ、家系図を作成して、戸籍から判明した最古の先祖様が江戸時代にどこに住んでいたのかがわかれば、その先が調べられるのです。その調査の過程で、職業とかが判ることがあります。

例えば図書館や郷土資料館に行って調べてみたり。自分のご先祖様の名前が載っていたりしたら、相当感動すると思います。あとはお寺の過去帳やお墓を読み取るというのも一つの方法です。武士の場合には分限帳というのがありまして、どれだけ石高があったとか、そういうことが残っていたりします。一般の方であれば、この人のおかげでこの橋ができた等の功績が残っていることがあります。

近藤様
FAMILY STORY®では、このような戸籍よりさらに昔に遡るサービスはやられないのですか?

溝口
今後のサービスとして検討しています。ただ、お客様ご自身が調べに行くというのもすごく重要なことだと思っていまして、せっかく家系図を作ったのですから、その後のお楽しみとして、ぜひご自身の足で調べに行っていただきたいと思っています。それこそ近藤様は全系統プランをご依頼いただきましたので、近藤姓だけではなく、あらゆる名字(家系)がでてきます。その中から、どこに行ってみようかなとご自身でチョイスしてみるのも楽しみになるのではないかと思っています。

近藤様
それはすごくいいですね。家系図はいちど作ったら終わりではなく、その後の楽しみにも活用できるという。

溝口
そうです。そうじゃないと本当に勿体ないです。

あとはお寺や図書館・郷土資料館に行くだけではなく、本家を訪れてみるのもいいと思います。本家は意外と残っていたりしますので。家系図を添えて、私はここですというご挨拶をきちんと行った上で、お話を聞きに行くとか。これは代理人である我々が行くよりは、ご本人様が行くほうが、はるかに意味のあることだと考えております。実際に話を聞いてみると、はるか昔の情報が残っていた、ということも十分あり得ると思います。

近藤様
弊社では「てくてく散歩」というウォーキングイベントを行っているのですが、非常に大勢の方にご好評いただいています。健康のためにも、ご自身の身体を使って楽しむ娯楽というのが、必要になってくると思います。ご自身のルーツを巡る旅に出るというのは、家系図を作った後の楽しみ方として、すごく魅力的ですね。

溝口
ちなみに、過去の資料を読むためには、古文書を読めるスキルというものが必要になってきます。戸籍であっても、昔のものは手書きですし、漢字が略されていることも多いです。家系図作成は戸籍を取り寄せて作りますので、ご自身でもやろうと思えばできる作業なのですが、手書きの文字を解読するのが非常に困難です。そこで、我々のような専門の家系図作成サービスが力を発揮します。

近藤様
古文書は行政書士であれば読めるものなのですか?

溝口
いえ、勉強しないと読むことができません。私も時間を見つけてはコツコツと勉強を継続しています。

近藤様
お仕事を引退されて、お金もあって時間もある方は、新しいことを覚えることがものすごく好きなのです。こんど弊社ではマジック教室をやるのですが、マジックを見るというより覚えて皆に披露するほうに楽しみを覚えてらっしゃるのです。古文書を読めるようになることについても、そのような方々の興味をそそる分野なのではないでしょうか?

溝口
その通りですね。私自身、人様に教えられるくらいまで熟練してきたら、古文書教室を開くのもいいかもしれませんね。少なくとも、「古文書を読めるようになりましょう」ということは家系図作成サービス運営者の立場として啓蒙していくことができたらいいなと思います。

近藤様
ぜひお願い致します。それにしても、家系図がこんなに楽しめるものだということを、本日お話してあらためて実感しました。家系図単体でも、自分のルーツに想いを馳せたり、家族・親族との絆を深めたりするパワーがある。そして、戸籍で調べたその先を知るために更にこんなに楽しめる!ますます私の家系図の出来上がりが楽しみになってきました。

今日の話のポイントは「家系図を作ることがゴールではない」ということですね。

溝口
おっしゃる通りですね。ぜひ、まずはスタート地点となる「家系図の完成」を楽しみにお待ちくださいませ。

───近藤様、本日は貴重な対談のお時間をありがとうございました。

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