昔から続いてきた家の記憶をカタチが残るものとして家族に伝えたい。家系図作成は私の「やりたかったこと」。

2019.7.30 S.M様(60代・神奈川県) <全系統プランをご依頼>

───家の歴史やご自身の想い出を家族に知ってもらいたいという想いでFAMILY STORY®に家系図作成をご依頼いただいたS.M様。家系図作成着手前の段階でインタビュー取材にご協力いただき、家系図を作成しようと思ったきっかけや、家系図にかける想いなどを語っていただきました。

「私は16代目」。記憶に残る古い家柄や実家の思い出。

亡くなった父も祖父から言われていたのかもしれませんが、私が父親から口伝で伝えられたのは、うちはけっこう古い家柄で、私が16代目だということでした。

実家が千葉県にあるのですが、建て替える前の家が、築300年のかやぶき屋根で、裏手に蔵のようなものがあり、納屋もあり。この古い家には、入口から入ったところが土間になっていて、年末になると親戚のおじさん・おばさんが集まって、土間でお餅をついていた記憶があります。そこをあがったところに囲炉裏があって、それを皆で囲んでいました。なので昔は皆が集まる本家だったのかなと。風呂場が家の外にあり、サンダルを履いて入りにいかないといけなかったり。トイレも外で。子供心に暗くていやだなと思った記憶があります。

祖父は私が物心ついた頃には漁師をしていまして、櫓で漕ぐような船で伊勢海老をとっていました。船に一緒に乗せてもらって、自分が漕いでも全然進まなくて同じところをぐるぐるぐるぐる回っていた記憶もあります。若い頃は遠洋漁業をやっていたようで、鰹の一本釣りをしていたようです。祖母は農業。畑で野菜を作ったり。半農半漁のようなことをやっていました。

古い家は、父が祖母の面倒を見なければいけないと、50年ほど前に思い切って取り壊し、建て替えました。私有地に山があり、杉や檜を植えていたのですが、そこから切り出した木材を地元の大工さんに製材からすべてをやっていただき、昔でいうと2階まで通せるような長い柱を節のないいいところだけをとって作ったりとか、そういうことをやって建てた家です。その私有地の山には、小学生くらいの頃に祖父・祖母に連れられて行った覚えがあります。今ではどこから入っていいのかもわからないような状態ですが。

その建て替えた家も、数年前に母が亡くなったタイミングで空き家になってしまいました。

祖父から父、父から私、私から子供たちへ。口伝しかできていないもどかしさ。

子供2人(長男・長女)は既に社会に出ていて、いま住んでいる神奈川県の生まれです。千葉の実家に行くとしても、夏休みとか、正月とか、いわゆる盆暮れしかなくなってしまっていました。長男にしても家を継いでくれると思いつつも、実家への意識が全然違います。生まれて何年も過ごした家でもないですし、休みの日に親とちょっと行くおばあちゃん家という感覚しかないと思います

もちろん、親戚のおじさん・おばさんがどういうつながりなのかわからない。私の父が「家系図みたいなものもないしなぁ」と言っていた記憶もありますし、先ほど話した私の昔の記憶も含めて、家族に対して家系のこと、昔の記憶のことを口伝しかできていないもどかしさがあります。

口伝だとなかなか実感としてもわかないでしょうからね。妻も千葉で過ごしたことがないので、私から聞いているくらいで、経験していないことが多い。主に親戚関係とか、少しでもわかるようにしてあげたいなと。

病気をきっかけに終活として「やるべきこと」「やりたいこと」を整理した。一番「やりたいこと」が家系図作成だった。

7年ほど前から病気をしまして、それをきっかけに、終活として「やるべきこと」「やりたいこと」を整理するようになりました。「やるべきこと」のほうはけっこう大変で、もし私が亡くなったときに誰に連絡する必要があり、菩提寺でのお通夜や葬儀、お墓に入るまでの流れはどうなるのかなどは、しっかり書き留めておいてあげる必要があります。

葬儀というのは実際に経験していないと、わからないことが多いと思うのです。私が小学4年生のとき、1年生になったばかりの妹を事故でなくし、お寺での葬儀を経験しています。その後に祖父と祖母が亡くなって。父は平成に入ったばかりの頃に亡くなり、母は数年前に亡くなりましたが、ともに私が喪主を務めました。父が亡くなった時は結婚していたが、息子が生まれる前だったので、息子はおじいちゃんの顔を見ずに生まれてきたかたちです。おばあちゃんの葬儀には立ち会えたものの、親戚のほうとも全然面識がありません。このあたりのことをきちんと伝えておかなければならないなと

なので、何をしなければならないかをスマホにメモしたり、書き留めたりしました。

一方で「やりたいこと」のほうです。
家の仏壇には先祖代々の板切れに墨で書かれている位牌があったのですが、古いものは読めないし虫食いてボロボロになっていたので、最近のものだけ新しくしました。(位牌をお手にされながら)こちらの位牌は父親のお兄さんのもの。父親は次男坊なのですが、このお兄さんが海軍で戦死してしまい、次男坊だけど跡を継ぐ形になりました。こちらが小学生の時に亡くなった妹の。もっと古いのもけっこうあったのですが、ボロボロでどうしようもありませんでした。

また、過去帳はお寺の執事の方に私のわかる範囲の書いていただきました。ただ、お寺に残っている過去帳を調べるまではまだできていません。これもできればやりたいことです。

先ほども話しましたが、父が「家系図みたいなものもないしなぁ」と言っていたことが、頭の中には記憶として残っていました。そのため、家系図も「やりたいこと」の中に入っていました。病気が発覚した時にふと思って、千葉の役所で除籍謄本をとってみたりもしました。

───家のルーツ、家系、記憶などを、しっかりと次世代に受け継いでいかれたいのですね。

私としてはそういう想いですね。ただ、それを子供に押し付けたり、子供の負担になってはいけないとも思っています。子供がどういう風に受け止めてどうするのか、最終的な判断は任せたいと思います。私はここまでしかできないし、ここまでは私の務めなのかなと想い、やりました。そして今回、家系図は「やりたいこと」の中でも一番やりたいことだったので、そのスタートがかけられてよかったです

───私たちも、これまでお伺いしたようなS.M様の壮大な物語を家系図としてカタチにすることができて光栄です。今回お話いただいた千葉のご実家でのおじい様、おばあ様との思い出なども、何かに書き留めて残しておかれるのですか?

ちょっと家族で話をすることはあったりはしますが、まだそこまではできていないです。やりたいという気持ちです。

───FAMILY STORY®からお納めするものの一つである人物単票」では、家系図に載る人物一人ひとりについて思い出やエピソードを残す欄があります。S.M様のほうでもマイページから自由に書き留めていただくことが可能で、記載いただいたエピソードが載った状態でお納めさせていただきます。おじい様が漁師をされていたとか、幼くして亡くなってしまった妹様のこととか、せっかくなので戸籍謄本からでは読み取れない、思い出がぎっしり詰まった人物単票に仕上げられたら素敵ですね。これからS.M様の家系図作成に着手しますので楽しみにしていてください。本日は貴重なお時間をありがとうございました。

余談)うさぎのモカちゃんについて

震災があった2011年の6月生まれで、生後2カ月くらいからうちで飼っています。私はモカにとって甘々な爺やみたいな感じです。自由に動き回らせていたのですが、最近は年のせいで体調も思わしくなく。この子を看取ってあげるのも「やるべきこと」なのかなと思っています。この子と過ごす時間は、私自身すごく癒されています。

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